『スイッチ』 望月花梨

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名倉 絅は「先生」が苦手。
担任の広田は先生っぽくなくて、いい加減で、やっぱり苦手。
広田ラブの親友・梢に付き合っているうちに広田と話すようになり、少しずつ広田のことが見えてくる。
   広田は何だか他の先生とは違う。
     あたしのスイッチを握っているのは先生です。

ずいぶん前の作品だけど、望月先生の作品はどれも独特の空気感で、色気と影があります。
思春期を描く力がすごいです!
しっとりと丁寧に描かれていて、だけど笑いもあり、この作品は中でも特に明るい雰囲気の作品です。
特に好きなのは言葉の使い方で、空気の温度や時間の流れ、心の色がとてもよく伝わってくるのです。
暗示的な表現が秀逸で、心の動きの伝わり方が何というか、直観的で気持ちいいです。
キャラクターももちろん魅力的で、絅ちゃんの色っぽさとか、他の作品でも人物の香り立つような色気なんかが滲み出ていて引き込まれます。
リアルタイムで読んでいて度々読み返す作品だけど、今でも全然色褪せない!
広田の得体の知れない感じとか、木暮に対するハンドリングなんか、どの年齢で読んでもかっこいいもんな~
絅ちゃんもそんな広田に盲目的になるんじゃなくて、やきもきしつつも一歩一歩ちゃんと大人になっているところが素敵だと思います。
大人になったらすごい色っぽくていい女になるんだろうな。
けど、
「名倉、オレを10段階で評価するとしたらいくつだ?」
「11ぃ~~~~~~~~~」
って答える絅ちゃんが一番好きです。

木暮くんも小学生みたいでバカだし、気分屋で集中力ないけど、この恋を糧にしてきっといい男に成長するんでしょう。
なんだかんだ絅ちゃんを大好きだったもんな。
ずっと広田には対抗心を抱え続けるんだろうな。
くだらないちょっかいばっかり出してちっとも成就しないとことか、野性的な鋭さとか、本当いいキャラだった(笑)
梢もナイスアシスト。
妄想ですが、彼女には是非とも木暮くんとどうにかなってほしい。
広田と絅ちゃんのその後とかも本当に読みたいです。
何とかなりませんかね…