『囀る鳥は羽ばたかない』 ヨネダコウ

Pocket

道心会傘下 真誠会若頭・矢代はドMで変態、淫乱ネコと囁かれながら、強かに成り上がってきた。
矢代の元に付き人兼用心棒として百目鬼(どうめき)がやってくる。
歪みきった矢代と愚直なまでに真っすぐに矢代だけを見る百目鬼。
誰にも触れさせなかった心が共鳴を始める     

BLっていうか、ハードボイルドというジャンルに入れてほしい。
話の中に流れとして自然と同性愛という要素があるという感じ。
なので、ラブラブキュンキュンするようなBLではなく、男くさい世界のずっしりと質量のある漫画です。

矢代の振り切れてしまった歪みは共感し難いものであるにもかかわらず、読んでいると理解できてしまう描き方がすごいです。
歪みや闇を持っているのは矢代だけじゃなくて全員なんだけど、それぞれ心が露出している部分がちゃんとある。
矢代の外気に全く触れていないようなその心が、過不足なく確かに描かれています。
おかげで、狂気に満ちているのに愛さずにはいられない。
矢代はものすごい中毒性のあるキャラクターです。
百目鬼に対する無垢な信頼だけがポカンと宙に浮いていて、これから矢代がそれとどう付き合っていくのか見物です。
全ては百目鬼の股間にかかっていると言っても過言ではありません。

百目鬼の矢代を思う盲目さというか、純度は感動的です。
投げられるものを躱すでもなく、全てを矢代だけに向けて生きる姿は痛々しくも目が離せません。
コミュニケーション下手だけれど、ひねりも裏表もない、核心だけを言葉・行動にするところが彼の特別なところです。
なんたってあの矢代に届くんですから。
そしてあの天然癒し系。
矢代じゃなくてもツボです。
今かよ!そっちかよ!オイ!…とツッコミどころ満載です。
矢代のおちゃめぶりもご堪能ください♡

では、二人の幸せを願って続巻を待ちたいと思います!