『GENTE』 オノ・ナツメ

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前作『リストランテ・パラディーゾ』で舞台となったリストランテ「カゼッタ・デッロルソ」の始まりのお話。

妻のオルガが過労で倒れ、忙しい彼女のために何かできないかと考えて、ロレンツォは開業予定の店のスタッフ募集要件に「初老の紳士」という項目を加える。
オルガは「初老の紳士」を眺めるのが好きなのだ。
イタリアの紳士たちが感じよく迎えてくれる素敵なリストランテの始まり   

前作よりもイタリア紳士度がググッと増しております!
今回は人物それぞれにスポットが当てられているので、彼らの底知れぬモテ力をこれでもかと見せつけられます。
イタリアとはあんな世界なのか…危な過ぎる…!
恋の駆け引きとかやり取りが、なんともイタリア的です。(イタリア行ったことないですけども)
デフォルトで女性に甘い!
武骨なルチアーノですらもギリギリのとこで絶対丁寧に扱うという紳士遺伝子の力。
でもこれは女性に限らずみんなに対してそうなのかも。
一流プレイボーイのヴィートなんか、人との距離をとるバランス能力がハイレベルすぎます。
コミュニケーション能力の高さがもう異常値で、相手を嫌な気持ちにさせない会話の投げ方は実際すごく参考になります。
言葉の持てる力を最大限に活かしているように感じられるのは、やっぱり表現する文化だからでしょうか。
こんな風に自由に会話を楽しめたら、毎日軽やかだろうな~
過不足のない粋なやり取りに顔もほころび、感心しっぱなしでした。

もちろんそのイタリア的なところの弊害もあって、みんな恋の感度が高い!
夫や妻があっても、ちょっとしたトキメキを日々楽しんでいるのがまたごく自然なのです。
父と娘であっても、時に恋人のような空気があったりしてとてもステキ。
夫婦ゲンガの仲直りも、思うところのある再会も、ちょっと苦い思い出も、スミからスミまで粋!
もしかしたらそういうのって、事実を自分なりに受け止める方法なのかもしれないなと思いました。
上手に受けて流して、自由に生きていく。
そんな異国の空気に心地よく浸ることができました。

フランチェスコもますます天使のような可愛さでノンノもメロメロ。
とりあえずわたしは将来自分の孫には「ノンナ」って呼ばれたいです。
ジジも相変わらずのリスぶりで、食べ物のある所にはジジありです。
もぐもぐ姿もパワーアップしてます。
素敵なテオのドルチェもお見逃しなく。