『QQスイーパー』 最富キョウスケ

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玉の輿という野望を持つ住所不定少女・西岡文。
編入先の高校で一夜を明かそうと忍び込んだ旧校舎で、気持ちよく整えられた不思議な部屋を見つける。
翌朝突然その部屋に入ってきたのは、謎のお掃除野郎・堀北玖太郎。
彼の家業はちょっと普通ではない”お掃除”だった     

安定のキャラ立ちです。
今作も、容姿はいい線いっているのにどうしてもバカな子たちがそろい踏みです。
みんなそれぞれちゃんと素晴らしい欠点の持ち主たちなのであります。
『電撃デイジー』の理子ちゃんも登場しますが、よそのお庭なのでさすがにきちんとお仕事されてます、今のところ。

私が一番注目してしまったのは、お掃除野郎・玖様の完璧主夫ぶりです。
一緒に住んで色々やってもらいたいです。
小姑のように細かく完璧主義で、当然お掃除に関してはプロ。
お掃除の手順とか豆知識とかは、へ~!と思うことも多くて興味深かったです。
物や空間を一つ一つ大切に丁寧に扱う姿はとても美しかった。
「空間の乱れは心の乱れ」というのは日ごろ自分でも感じることがあるし、空間と心の両方の側面がしっかりリンクして描かれていて引き込まれました。
しかしお掃除はできるのにコミュ力が整わない玖様。
学校でも全然うまくやれていません。
お掃除のときは特にですけど、誰にでも容赦なく厳しい言葉を投げつけてくださるのでゾクゾクしますもんね。
そのギャップ萌えで、たまにサービスしてくれる無防備な優しい表情とか…絶対勘違いしちゃう唐突な距離感とか…生まれつき王子様のようです。
優しくするのが上手すぎて、ちょっと…息が上がります…

主人公の文はやっぱちょっとキモい女子に仕上がっていて、概ね満足です。
男子全般に玉の輿というフィルターがかかっていますが、人の道に反する玉の輿には乗らないというのが美点。
玖様を貪欲にいじったり、キモいことしたりして、震えがきそうなほど冷ややかな眼差しとか引きっぷりとかキレっぷりを引き出してくれて、ごちそうさまです。
あの、引くのヤバい、大好き。
たまに披露してくれる似顔絵なんかもすごいホラーで…玖様描いて超怒られてた。
手を描くのが苦手なようで書き込みが甘いからか、手が一番怖くない。
これからも色々描いてくれそうなので期待大です。

そして文は主人公なのに一番謎多き女で、徐々に物語はその部分に切り込んでいきますが、この作品はまだまだ序章のようです。
美しい子どもの頃の思い出も少しずつ繋がって、文と玖様も大きく変わっていきそうです。
お話の続きは『クイーンズ・クオリティ』で!