貧乏な三崎と金持ちの明治。
二人の祖父は共に戦争を生き抜いた間柄。
堂々と校内で商売をする三崎にいつも突っかかっていく明治だが、毎度軽くあしらわれている。
二人の通う高校の理事長である明治の祖父が、かつての彼の祖父に生き写しのような三崎にすっかり懐いてしまい…
明治家のお花畑のような血筋が豪華共演…という作品です。
読み進めるほど、予想外の純な人たちに足をとられます。
ラブはありませんが、明治が純すぎて鼻血が出そうでした。
「丁寧に育っている」と三崎に言わしめる、純粋なお坊ちゃまの明治。
不器用で一所懸命な愛し方がハートに刺さります…
三崎に翻弄されまくりで、うまくいかないとすぐショボンとするとことか、ショックを受けてすぐめそめそするとことか…可愛い子どもか!
特にめそめそ明治がツボでした!!
可愛い子どもにも勝てるのでは…
長く生きている分、おじいさまはすごいです。
三崎に甘えまくりで上気するおじいさま。
三崎に遊んでもらったらすぐ16歳に戻って、当時の気持ちを謳歌します。
あの文学青年がよもやこのような…というキャピキャピぶり。
「やっぴー♥」とかどこで覚えてきたの!
60年分の想いですっかりメルヘン乙女です。
三崎の祖父と二人だけの16歳の恋。
形にならない、月に寄せたロマンチックな愛の告白。
それだけを頼りにずっと想いを抱え続けているのがとても切なかったです。
そんな美しい決意があったから、孫を励ますような、競うようなところも微笑ましく見守ることができました。
でも最後、おじいちゃん!コラ!!さすがだな!!!
このように明るい愛に溢れた物語でした。
明治の腰ぎんちゃくのグリグラ兄妹も可愛い奴らで、彼らの明治愛と兄妹愛もほっこりしました。