『青楼オペラ』 桜小路かのこ

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武家出身の朱音は家をなくし、自ら吉原の大門をくぐる。
吉原の片隅にある稲荷神社で出会ったザンバラ髪の男・近江屋 惣右助は、なぜか朱音に執着を示し身請けを申し出るのだが     !?

門をくぐった先の異世界・吉原で特別な光を放つ花魁たち。
人々が身分に縛られた時代の様々な事情が交錯する物語です。
当時の人々の生活事情や、花魁たちの普段の生活の様子なんかもよく描かれていて、興味深く読むことができます。
女の世界、さらに廓という苦界の中で立てる女郎としての体面と武家の娘としての体面。
プライドを保つには自分を磨いて登りつめるしかないという、細く険しい道を行くような世界をのし上がった花魁たちの美しさ…
闇があることもわかっているのに、その華々しい部分に強烈な魅力を持つ不思議な世界です。
「花魁」「吉原」というワードにはどうしても反応してしまう。

吉原の大門をくぐる女たちはそれぞれに不幸な事情を抱えていて、この物語の主人公・朱音も例に漏れません。
親を失い、家を失ったその真実を掴むために、この頂上も地の底もごちゃまぜになったような世界に身を投じます。
武家のお堅いお姫様です。
まだまだ小娘なので、曙楼のNo.1 朝明野姉さんのような底が見えないようなミステリアスな美しさはまだ備わってませんが、ポテンシャルは秘めているようです。
いやーしかし、身持ちが固い!
惣右助さんかわいそうに、拷問だね。
現代のJKの話とかしたら手打ちにされてしまいそうです。
あぁ、でも利一になら叱られても本望…むしろ叱られてしゅんとして謝りたい。
朱音のためなら汚れ役もスマートにこなしてしまう右腕ぶりに興奮します。
利一の干支はきっとヘビではないかしら…♡
惣右助へぶつけていた嫌味ったらしさが素敵だった~!
この利一vs惣右助もよかったけれど、やっぱりタッグを組んでからの方が好き!
朱音の守護神ツートップとして息ピッタリで、頼もしいことこの上ないです。
利一はずーっと朱音のことを見守ってきたベテラン守護神。
厳しい父親が朱音に注いだ愛情もちゃんと見ていてくれたんだというのはジーンときました。
惣右助は羽振り良く遊びまわっているかと思いきや、意外とウブでいらっしゃってクラクラしちゃう…
すぐ照れるから、つられて照れる。
朱音のことをうんと甘やかしたいんだけど、意地が邪魔して上手に甘やかしてやれないというギュンギュンポイントがあります。
そういう恋愛スキルの拙さに加えて、「廓の掟」という縛りがいいアクセントとなり、もどかしさというゾーンをつつかれて悶えるわけです…!
段々ふたりが甘酸っぱくなってきたので、これからのさらなる刺激を期待します。
そして今後、こっそりお気に入りの女形・菊之丞様の活躍も楽しみ…
菊之丞様は下品でちょっとBL臭がするところがたまりません。
ビッチな菊様が見たい!