『眠り男と恋男』 座裏屋蘭丸

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ロイスは眠っている間、無意識に誰かを抱いてしまう…そんなウソのような病気。
本人はそのことを覚えていないし、相手も誰だって構わない      友達でも、同性でも    
ジュードはそのことを本人に告げられないまま、またロイスに抱かれるのだった     

とにもかくにも肉体美。
彫刻のように美しい身体にうっとりして、デッサンしたい衝動に駆られます…
ロイスの爪の形が自分より綺麗で嫉妬しました。
かなりラブ激しめですが、筋肉の付き方とか、豊かな表情など見応えがあります。

特殊な設定ですが、不自然さを全く感じないストーリーもいい。
この病気は「Sexsomnia」という睡眠障害の一種で実際にみられる症状だそうです。
頭ではこれはロイスの意思ではないってわかっていても抗えない、ジュードの複雑な恋心がせつなくって。
ジュードを襲っているロイスは無意識の状態で、ちょっとした手つきが女性を扱っているように感じられるから胸がチクっとします。
ロイスもデリカシーなくて余計にジュードは罪悪感が増してしまう。
薬で症状は出なくなる、そうすればロイスは何の不安もなく目覚められる…でもそうすれば現実で自分がロイスに抱かれることはない…
乙女のジュードはジレンマです。
「ロイスぅ」ってすぐ泣いちゃってかわいいジュード。(腹筋バキバキ)
キスされるジュードの表情と、ジュードに萌えるロイスの表情がすごくイイんです!
思わず頭抱えて「せつな~~」とか口に出していました。

ロイスのなんというか、振り回されずに逆に遊び心があるような、「ふ~ん」て感じの病気との付き合い方が、彼の器の大きさを醸し出しています。
ジュードがかわいく見え始めても全然戸惑わないとか カ ッ コ イ イ !!
そしてどんどんジュードの乙女の部分は磨かれていくのでありました。
ロイスなりの考えがあってのことなんだけど、思い立って薬を飲むロイスを見るジュードの目が、めっちゃ複雑な気持ちを物語っていて、乙女的に傷ついている姿が愛おしいのです…
スッパリとロイスへの気持ちを貫く姿を見ても、もうカッコイイ乙女にしか見えなくなっていました。
「…キスもしてーし」っていう粋な一言で、恥じらってうつむくジュードの顔を上げさせるシーンが、二人の魅力が凝縮されていて一番好きなシーンでした!!
さすが外国人。

この作品のほかにあと4編のお話が収録されていますが、やっぱりこのお話がいちばん好きでした!
座裏屋先生が描く外国人のお話がとても好き!