『BARBARITIES』 鈴木ツタ

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昔々、違う世界の遠い国のお話…
「ロラインの宝」と言われているモンタギュー卿に脅迫状が届き、国王の命で彼の警護にあたることになったアダム・カニング子爵。
美しく、奔放な博愛主義者のアダムはあるパーティでモンタギュー卿の甥・ジョエルに出会う。
冷ややかでつれないジョエルだが、フラれたことなどないアダムは初めて激しく心を奪われるが…!?

「なんなのコレ、アダム最高なんだけど…」と思わず声に出してしまいました。
アダム、最高なんです。
独り異次元に住む美貴族!!
超前向きで、超ラブに奔放!!
何この人!何この人!!
途中からは、登場しただけで笑いがこみ上げてくる始末です。
もう存在自体が異質すぎて、一人だけ舞台の上の人みたい。
全部が本気で本物だから、アダムはアダムでしかない。
愛の化身てこんな感じかなっていうのがアダムです。

ちゃんと観客もいます。
アダムの従者・ポールがすごくイイ。
「アダムの従者」として彼以上はいないでしょう。
そもそもアダムを異次元前提で扱うので、理解不能なパートはスルッと無視。無視、無視、無視。
アダムはそんなの気にせずに自分の世界で生きています。
そういう生き物なんだから、別に理解されようがされまいがそんなことどうでもいいんでしょうし。
常人の世界から逸脱した部分はことごとく無視、みたいなポールですが、アダムすら驚く気の利いた提案を繰り出すところもあって、底知れない有能な従者です…
たまに悩んでいるアダムの話を聞いてみようとしたりしますが、完全に興味本位だし、悩みが異次元すぎてすぐ放置。
そう、あの放し飼い感がたまらない。

ジョエルは真面目一徹みたいな、遊びのない人ですごく真っ当な人間なんですが、アダムからしてみれば逆に宇宙人です。
噛み合わなさが逆に気持ちいい…君たち同じ生き物だよね?って感じです。
まだなかなか心を開いてくれない仔猫ちゃんなので、アダムには粘り強く頑張ってほしいものです。
理性から逃れられないジョエルにもっと酒を…!

ルイスとジルもまだまだこれから。
アダムとルイスは結構気が合うんじゃないかしら…ボンボン同士。
ルイスはまだまだ可愛いところを秘めているはず!
この作品が1巻で完結できなかったことに感謝です。
早く続き読みたい!