『花は咲くか』 日高ショーコ

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広告代理店に勤める桜井は日々の激務に忙殺されていた。
そんな疲れ切った仕事帰りに、駅で不愛想な大学生・水川 蓉一にぶつかって資料の本がダメになってしまう。
同じ本を持っているから交換するという蓉一について彼の家に行くと、そこは下宿屋をしている古い日本家屋だった。
下宿の住人たちとも関わりができて、蓉一を苦手に思いながらもそこに出入りをするようになる桜井だったが…

これは…すっごく好きだった…!
『憂鬱な朝』 のイメージで、なんとなくじっとりとした雰囲気なのかと思ったら全然違って、すっごく好きだった!!!
嫌だなと思う人が出てこなかったし、何かみんなカラッとしていてよかったです。
強いて言えば最初の頃の蓉一が嫌なヤツだった(笑)
桜井さんも最初はかなりクタクタでヨレヨレだったけど、蓉一と出会ってお互いに自分がはっきりしていくと、二人ともどんどん輝きだしちゃって…
桜井さん、今まで散々モテて、色々そつなくこなしてきたんだろうな…という確かなリードに、もう、もう、超ときめいてしまいました。
教科書に載せたい素晴らしいリードでした。
全く恋愛に馴染んでなさそうな蓉一をホイホイと転がしていく手腕。
なに、あの恋愛偏差値の高さ。
めっちゃ余裕あって楽しんでるし。
おっさん~やらしい~!
あんなに気難しそうだった蓉一があっという間にただのかわいこちゃんに…
なんかもう普通に桜井さんがかっこよすぎてホレました。
普通に蓉一が羨ましいです。
いいな~あんなわかりやすく甘々に愛されて…幸せカップルめ。
唐突な胸ぐらキスも、いいじゃないか。
桜井さんに焦れて大真面目に突っかかっていく蓉一を目を細めて眺めていたら、なんだかあったかい気持ちになれます。
怒れる蓉一はちょっと見物です。

あと、もっと色んなところにホモが飛び火するのかとソワソワしていたのですが、そんなホモ下宿化はなりませんでした。
柏木さんにすらソワソワしていたんだけど…
竹さんも何か内に秘めるものがあるのでは…と疑い続けました。
いや、竹さんは実はかなり面白い人なんだと思うんです。
重要な場面を偶然目撃してしまう家政婦のようなところがあったりしてね。
竹さんの中で謎がぐるぐると深まっていくのを見るのが好きでした。
まともそうに見えて、たまにキラッとしながらものすごくズレたこと言ったりとかしてましたし。
自分の世界観の強さとか、さすが蓉一の従兄っていう。
藤本の引いた顔が印象的でした。
菖太は菖太で根本的にバカだし、いい感じの一族です。

これは、4~5巻を何度も読み返してしまいそう。