『空と原』 中村明日美子

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佐条と草壁が卒業し、東府一高はまた新入生を迎えていた。
喪失感を抱えたまま新たな春を迎える原先生。
心機一転、久しぶりに夜遊びに繰り出して若い男を引っかけたものの、どうしても佐条の顔がちらついてしまい…

『同級生』 のその後、原先生のお話です。
ラブは薄味ですが、ハラセンの魅力が炸裂しています。
酔っぱらったハラセンが面白すぎる。
面白くてかわいくて、あの酔っ払いシーンでハラセンの虜になってしまいました。
今までは佐条をずっと見守って、自分の気持ちはしまいこんだままだったけど、卒業していなくなってしまった寂しさはダダ漏れてくるばかり。
見かけはクールそうで、ちょっと強面なハラセンだけど、土壇場で相手の方を思いやって自分を抑えたり、情にもろくて他人を放っておけなかったりするすごく優しい人でした。
ハラセンとソラノを見ていたら、頑張って相手を大切にするっていいなぁと思えました。

叶わないけど捨てることもできないでいる恋。
叶わなくても側にいると幸せを感じてしまうという恋心がせつなかった…
ハラセンの「つらくない恋なんてない」という言葉や、どんなに経験を積んでわかっていてもそれでも恋におちてしまうんだっていう生き方が、とても生きてるっていう実感がこもっていて良いなと思いました。
ハラセンもソラノも、有坂先生もコマっちゃんも、みんな自分の恋にぶつかって傷ついて、それでも恋をしてとても素敵でした。
このお話はハラセンが今まで消化しきれずにためこんできた恋の傷を、頑張って清算してまた一皮むけるっていうお話でしたが、佐条にしても有坂先生にしても叶わなくて辛かったのに、優しく優しく向き合っていたのがハラセンらしかった。
有坂先生、ここで来ましたかという感じでしたけども。
佐条とか有坂先生に対しては自分を引っ込めてしまうハラセンが、ソラノの隣でみせる可愛さに庇護欲のようなものを大いにくすぐられてしまいました。
ハラセンには心から幸せになってほしいです。
ソラノがこれからぐんぐんイイ男に成長して、繊細なハラセンをがっちり支えてくれますように。
ちょろちょろっと出てくる佐条♡草壁の安定のラブも心地よかった。

この先のお話は 『O.B.』 に続きます!

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