『ちはやふる』 末次由紀

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「かるた(小倉百人一首)」で繋がった千早と新と太一の友情。
3人で過ごした時間はほんのひとときだったけれど、かるたを続けていればきっと繋がっていられる      
そう信じ、かるたに魅せられ、全ての情熱をかるたに注ぐ千早。
心が熱くたぎる、感動の青春かるたストーリー!!

どこをとっても熱量がハンパないです!
人目を憚らず、感情を揺さぶられるままに読んでほしい!!
1巻1ページ目を開いた瞬間、競技かるたの世界の空気、緊張、静けさ、時間の流れ、全てに一瞬にして飲み込まれます。
1ページ目にして心を煽ってきます。
学生、子供、大人、競技者、指導者、家族、勝者、敗者、名人、クイーン、挑戦者…
色んな立場でかるたと関わり、かるたに懸けるそれぞれの思い。
読んでいると、何度も何度も喉の奥がギュッとなって、自分の内側から何かがこみ上げてきて、どうして今までこの世界を知らずにいられたのかと心の底から思います。
そもそも、競技かるたという世界自体今まで接点がなくて、全くもって無知の状態で読み始めたのですが、この作品に出会ってから「こんなにすごいことをする人たちがひしめく世界なのか・・・」と瞬く間に魅せられてしまいました。
中学・高校でせっかく百人一首部があったのに…今なら飛びつくのに…悔やまれます…!!

かるた自体に興味は持てなくても、なりふりかまわず自分の全てを懸けるたくさんの姿は、体中にバーッと血が行きわたるように、自分の奥深くの熱を呼び覚まします。
全部を懸けるということは喜びからも悔しさからも、何からも逃げられないということ。
弱い自分、小さな自分、逃げる自分、負ける自分…自分の全部を受け止めて何度も何度も乗り越えてゆく。
登場するみんながそれぞれそんな風に必死でもがいて前に進んでいきます。
たくさんの出会いを経て、自分の武器との付き合い方や、自分自身との向き合い方を知っていく千早たち。
才能が無くても、負けても、悔しくても、かるたをやる。
自分を諦めないためにできることは全てやる。
太一はすっごいすっごい努力家で、自分のコンプレックスもちゃんと見えてるから、たくさん傷つくのがもう苦しくって…
太一にもかなり、ものすごく心をえぐられたけど、私のヒーローは机くんだなぁ。
悔しさから逃げない、強くて思いやりがある机くん。
机くんの言葉はすごく心に響きました。
主役の千早たちが高校のかるた部で一生懸命がんばるのが物語の大きな柱ですが、大人たちもみんな必死で激熱なんです!
その競技スタイルから「知的な熊」と言われた原田先生なんか、指導力、勝ちへの執念、少年のような情熱、あだ名のセンス…何をとっても大好きな一人です。
ていうか登場人物全員大好きです。
人の数だけ、それぞれのかるたがある。
色んなかるたとの付き合い方があって、かるたの色んな楽しみ方を教えてくれます。

近江神宮で年始に開催される名人・クイーン戦をどうしてもこの目で見たくて、昨年観覧に応募しましたが願い届かず…
でも、「かるたを見たい」という思いを預けた葉書が近江勧学館に届いたのかと思うと、そのことだけでもちょっと興奮しました。
今年もまた応募しよう。
こつこつ応募して、いつか見に行きたいです!