『それに名前をつけるなら』 鮎川ハル

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純情DT男子校生の佐野は、友達について遊びに行った大学の学祭で「王子」と呼ばれるイケメン大学生・藤田と知り合い、「モテの師匠」と崇める。
ある日街で逆ナンされている藤田を偶然助けると、彼は恋人にフラれて泣いていた。
「引いただろ。男にフラれて号泣してたんだよ、俺は」
慰めているうちに、藤田がゲイであることがわかり、その上思いがけない提案をしてきて…!?

あいもかわらず』の健と誠一郎の友人たちの恋のお話です。
二人もちょろちょろ登場します。

もう、佐野も藤田も大胆なんだか不器用なんだか…!
心が後からついてくる恋愛って、気持ちを表現するのが余計に難しくってせつない。
でも二人とも、相手を試したりとかせずに、正々堂々と自分の恋をするのが清々しかったです。

佐野は恋愛経験ゼロで、自分の中でグルグルと悩みまくりながらも、丁寧に藤田に接する優しい男子。
年上の藤田にリードされる恥じらいはあっても、自分よりも相手の気持ちを大事にできる真面目さは非常に好感が持てました。
あんなに気持ちが読めない藤田相手によくやったよ…!
藤田のエロさに流されてしまうけど、自分の何かうしろめたい気持ちも、藤田に惹かれる気持ちも誤魔化さずにちゃんと悩むのって偉い。
投げ出さない男・佐野。
数年後には相当モテてるんじゃないだろうか。
しかも何かイチャイチャも妙に上手いし。

藤田は何より行動が カ ワ イ イ !!
グスグスないちゃったり、なんでもないものを大事に取っておいたり、服を着てみたり!
ちょっかいの出し方とかもかわいくって…!
この人はただの不器用なイケメンだったという…
表情は乏しいけど感受性豊かで、その静かな表情から気持ちが痛いほど伝わってくるのがすごい。
映画館での手のシーンは藤田側の気持ちになって読むと、ちょっと泣きそうになりました。
これ、もし藤田サイドからの物語があったら、わたし泣いちゃうと思います。
あんな落ち着いてる風に見えて、一生懸命いろいろ考えたり、寂しくなったりしてるなんて……萌え!!
私としましては、ダダっこ藤田ちゃんが一押しでございます。
二人のラブいやりとりもほっこり幸せになりました。

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