『おいたが過ぎるわ子猫ちゃん』 緒川千世

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弓太のはとこ・越郎は一人で書道教室をしてフラフラと独身を満喫している。
いつもちゃらんぽらんな越郎に振り回されながらも、越郎の本心をつかめずにやきもきする弓太。
ある日、越郎が弓太をかばって怪我をしてしまい、弓太はその責任を取るため住み込みで越郎の身の回りの世話をすることになり…!?

子猫男子と狼男のキュンキュンするラブコメです。
このおれがおまえなんか好きなわけない』の面々も登場します。

高校生ながら、デカいぬいぐるみのPちゃんと一緒に眠るファンシー男子・弓太。
そんなんかわいいにきまってる。
チューしたくなるにきまってる。
こういうブリブリ感は男子だからこそ見ていられるものです。
女子だったら反射的に噴火してしまいます。
その上、弓太の嫁っぷりがレベル高くて、もう勝てるとこなんてない。

そんな弓太を手のひらで転がしてニヤニヤしている越郎。
弓太が素直で単純でかわいくってたまらないのです。
行動やしぐさが絶妙に乙女で、「ちくしょう!弓太ちくしょう!ズッキーな!男のくせに!」とハンカチを噛みながら読むしかありません。
弓太を甘やかすの楽しいだろうな…!
越郎も弓太の可愛さを堪能しまくっていて、ふたりのラブな空気にマジ萌えます。
時折はさみこまれる大人で本気な顔の越郎がわたしの理性を奪う…
ちょっと怖いくらい強引になる越郎の背中をもうひと押ししたくてたまらない。
そんな甘々な二人をいつもドライに扱う病院の先生が実は結構好きでした。

そしてちゃらんぽらんの裏に越郎の弱い部分もちゃんと隠れています。
距離が近づく程に、どこか遠く感じる部分も見えてきて不安な弓太。
越郎は大人だから弱さもうまく誤魔化してしまう。
弓太目線で見るとずるいなぁと思うけど、そういう不完全さや矛盾こそ人間らしくて愛おしく感じるんですよね~
越郎の弱いところ、ひねくれたところ、ずるいところ、全部引き受けてくれる太陽のような弓太。
全身に愛情を受けて育った弓太が、越郎には眩しいだろうなぁ。
越郎の気持ちが丸裸になる場面は、越郎が小さな子どもみたいで、ギュッと抱きしめてあげたくなるような頭の奥がジンとする場面でした。
心置きなく弓太を大切にする幸せそうな越郎見てたらぐっときちゃって、読んだあと幸せいっぱいになれるお話です。