『サプリ』 おかざき真里

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広告代理店でのハードな仕事に打ち込む藤井ミナミは、だらだらと7年間付き合ってきた恋人と27歳にして別れてしまう。
悲しみや不安や迷いに打ちのめされながらも、仕事に食らいつくことで立ち上がり、また溺れたりしながら女の人生は続いていく…!!

もうとにかく田中さんをこんなに好きになるなんてということです。
主人公は藤井さんですけど、わたしは田中さんの話をしたい。
田中さんのいない世界なんて!そんなもの!!
あ!田中さん…中の世界の人だった…
ってなるほどに田中さんを好きになってしまいました。

田中さんになら生まれ変わってみたい。
だって、田中さんだったらどんな道になろうとも、「田中さんの人生」にしかなり得ないから。
何が言いたいのかというと、生きることはアイデンティティがあってこそではないかということです。
田中さんの自己との同一性はハンパではない。
彼女の前では「正しい」とか「普通」とか、そんな一瞬を切り取って判定するような言葉があまりにもナンセンスで虚しい。
絶対的に「自分」であるという生き様をまざまざと見せられます。

自分に後ろめたくないようにっていう気持ちが強いほど、仕事って自分の満たされていないところを曖昧にできなくさせる気がする。
埋められる穴はとっとと埋めて先に進まなければ!というブン投げ方を知ってしまう。
そして、取りまく流れが大きければ大きいほど自分だけのバランスでは立っていられなくて、バラバラになりそうな自分。
どうにか自分を奮い立たせる切迫感や、グラつく感じ、自分の現状を疑ってしまう感じとか、崩れ落ちそうになる気持ち…藤井さんを見ていると痛いほど共感する。
心を保つために体の欲望をとりあえず満たすっていうあの感じとか…
社会で揉まれた人は少なからず共感できることがあると思います。
そんな中に立って、けもの道をガシガシかき分けていく田中さんの神々しさったら…

あと、恋愛。
甘い恋の中にいるときよりも、それを手放すときに心が揺さぶられました。
今までは漫画を読む中で、物語で恋愛の甘さを疑似的に味わって満たされていたけど、この作品は違った。
溺れそうなギリギリの感じになるけど、恋愛よりも哲学という支柱があった。
かなり自分にフィードバックできることが多くて、苦しくもあるけれど、とても強い気持ちになるような作品でした。
自分の人生を一歩一歩生きることがとても素晴らしいことのように思えました。

最後になりましたが、これは藤井さんが仕事や恋愛に丁寧にタフにぶつかっていくお話です。
それ読んでたら田中さんの虜になるという…(最初に戻る)

 

そ・れ・で!
番外編もあるので皆様お見逃しなく!!
藤井&佐原はもちろん、柚木&コーエツも!
藤井さんの「2年間」が静かにかっこいい。
みんな、それぞれの道をしっかりと歩いています。

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