『続 IN THE APARTMENT』 絵津鼓

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同じアパートの住人として再会した幼なじみの杉本(スギモン)と妹尾(マッキー)。
あっさりとアパートを去った妹尾は杉本のところに戻ってくる。
近づいたかと思えばまた遠ざかるような妹尾に想いがちゃんと伝わっているのかわからない杉本。
何の約束もないまま、流れるように一緒に過ごす二人だったが     !?

『IN THE APARTMENT』の二人の超待望の続編。
マッキーとスギモンが通じ合うのを見届けないと前に進めない!
前作のときからしつこく言ってますが、是非とも『モアザンワーズ』から読んでもらいたい!!!
マッキーが何の疑いもなく幸せの中に居ることができた頃のお話です。
この時を過ごしてたマッキーを見てから『IN THE~』に突入することを強くオススメします!(もちろん『IN THE~』だけでもおもしろいんだけど!)
なぜなら、マッキーの幸せを願う気持ちが劇的に膨れ上がるから!!
マッキーが笑ってくれたときの胸の詰まり具合と涙の勢いが全然違うから!!
光と影が入り混じるマッキーのあの感じをきっとより理解できるし、物語の見え方が全然違ってくるはず。

私はただひたすらにマッキーの幸せを願いながら、このお話を読みました。
スギモンには「とにかくマッキーを頼む」いう想いを託して。
スギモンすまん、君のこともとても好きだったよ。
しかしスギモンを骨太なイイ男にしたのは紛れもなくマッキーなんだよ。

二人とも心にしこりを持っていて、それが悩んだり落ち込んだりする材料になったりするわけですが、でもそのしこりこそが二人の心が重なる触媒にもなってくれた。
この苦しさを持っていなかったら、きっとマッキーとスギモンはお互いに心が動くことがなかったのかも…と思うと益々そのデスティニーさにクラクラします。
マッキーは変化したり失ったりする怖さを知っていて、差し出された幸せに自分から手を伸ばす勇気が出ない。
幸せを受け入れられず、いつも儚くて目を離すと消えてしまいそうなマッキー。
だけど、不安が大きくなるたびに、スギモンは言葉にして言い聞かせてくれる。
マッキーに手を伸ばし続けるスギモンの大きな愛を感じては泣きじゃくりました。
スギモン…なんてイイ男なの…
どう見ても淡泊っぽいのに、マッキー相手になると完全にオスでS味まで入ってくるとかやめて………いや、やめないで…!
マッキーを想うスギモンがこれでもかというほどドツボでした。
マッキー以外だとダメなんだよね、私じゃだめなんだよね、というジレンマも程よいスパイスになりました。

「全部意味があるんかもしれん
嫌なことも うまくいかんことも それが起こるタイミングも
意味のないことは もしかしたら ないんかもしれん」

二人の心が動き出して、新しい景色が見えてきて、今まで受け入れられなかったこととか見ることもできなかったこととか、少しずつ静かに変わっていく感じが、静かに、リアルに描かれていました。
その時は痛いだけだった出来事も、今の自分にとっては違うものになっている。
マッキーだけじゃなくてスギモンも、スギモンのお兄ちゃんも、みんな。
良いとか悪いとかじゃなく、心はどうやっても変わっていくものだっていうことがとてもやさしくて、その心を持って生きているみんなが愛おしかったです。
相手を思う言葉にならない気持ちがどんなかたちのものなのか、みんなが一生懸命探していた。
『モアザン~』から今作までそんな苦しくもやさしい物語だったと思います。
二人のたくさんの言葉に、幸せな姿に、ただただ涙が溢れるばかりでした。

「そういう自分になれてよかった」
この言葉に辿り着くまでの暗闇を一緒に歩くことができて幸せでした…
多分この先何回読み返しても泣いちゃうんだろうな~と思います。
二人がずっと幸せでありますように!!
またどこかで会えますように!!!

あ!
ちょろっとだけど『SUPER NATURAL』の大地と暢も幸せそうな姿をみせてくれていた!嬉しかった!!
『SUPER NATURAL / JAM』とリンクするシーンはちょっとですが、推しの暢が炸裂してるので併せて是非。