『恋するインテリジェンス』 丹下道

Pocket

「この世の幸福のすべては あなたの腕の中にあるのだから」
N国の中枢部で日々重要な任に当たるインテリジェンスの職員たち。

美しいスパダリ攻めが時にはその巨大な力を駆使して、美しくも困難を抱える受けとの愛に燃える物語                        

一度知ってしまうと、知らなかった頃にはもう戻れない。
そんな作品ですので、皆さんお気をつけて…
でも知らないと確実に人生もったいないことしてると思います。
安心して扉を開いていきましょう。

登場するのはもれなくドラマティックで劇的なスパダリ攻めと、とことんいじらしくて一途な受けなんですけど、なにこれ、なにこの舞台みたいな人たち。語彙力。中毒感。スーツ。
愛を讃える言葉が泉のようにこんこんと湧き出てくるの圧倒的な盲目感。
時に受けへ千本ノックのように与えられる愛の言葉ですが、出してかないと彼ら多分死んでしまうから。受けへの愛に溺れて。そういう生き物たちのお話です。
息をするのと同じなんですよね、愛を伝えることって。
何もかもが容赦なく濃厚で激しめです。
攻めが受けにデレデレで、五感で感じる受けの全てが「かわいい」という言葉に帰結してゆく。
受けが可愛すぎて「かわいい」しか言えなくなる攻め。
N国では「かわいい」が全てをカバーする最上級の言葉なのかもしれません。
独特のアングル・コマ運びも好きだし、セリフがぎゅうぎゅうに詰まったふきだしが連なっているページを開くと、脳内で何かの興奮物質が分泌されます。
人物小さくしないとふきだし入らないんで、遠くで小さくしゃべってるときが一番いいこと言ってるコマです。
あと、効果音が雑なコマも大事なコマ。

で、とりあえず針生×眞御カプを激推しなんですが。

「彼が絶えず人々を魅了し夢中にさせてしまうのはこの世に対する圧倒的優位性を彼に創造した神への返礼、いわば彼の義務である」

とか、任務で女性侍らしてる針生に悶々としちゃって、眞御ちゃん病んでる~~~~~
無垢で嫉妬深い眞御ちゃんかわえ~~~~~ぽろぽろ泣いちゃうんだよね~~~~~
眞御ちゃんの魔性のウブさとツンデレ具合やばいですよね。
部下や同僚は雑にあしらう針生が眞御ちゃんにはデレ過ぎてすぐ鼻血出るのも仕方ない。
そのスパダリ・針生が眞御ちゃんを手のひらで転がしながら、ブーメランで自爆して鼻血とか、愛しい。
すらすらとこぼれ落ちる溺愛の言葉とかドS言葉攻めとかもすごいんですけど、いつもは眞御ちゃん眞御ちゃんって言ってる針生が、たまに「おまえ」って言うんですよね、イヤイヤする眞御ちゃんに。
針生の腕の中でうっとりしてる眞御ちゃんが一番可愛くて、眞御ちゃんの可愛いに殺されそうな針生が一番幸せそう。
エリートなのに眞御ちゃんのことになると愚かになっちゃうんだよね、針生は。
職場でもどんどんエスカレートしていく二人の世界にうっとりして癒されたり(針生PCの画面も眞御ちゃん)、部下・武笠の気持ちになって楽しめます。
そうだ、こういう人たちのことをバカップルっていうんですよね。

円×土門もね、いいね。
円命の志山次官(円パパ)の外面とデレの落差。
土門の前ではひらりと悪魔の姿になるパパ。
パパあんなですけど、円との過去話ボロ泣きですからね。
爽やかだったパパが今あんないかつくなったのでも泣きましたけど。
ちっちゃい円くん超癒し系…庇護欲…
パパにとってはいつまでもあのちっちゃな円くんのまんまなんだろうなぁ。
色々乗り越えて家族になった人たちだから並々ならぬ絆の深さで、ちっちゃな円くんが絞り出した「パパ」を反芻したい気持ちもわかります。
宝物なんだよね。
あの自信に満ち満ちて煽ってくる土門が憎かろうよ。
それなのに土門にお礼言えたのめっちゃ頑張ったね。
土門も常軌を逸したスパダリですけど、パパと腹割ってはなしたら瞬殺で解決しそうですよね。
むしろ仲良くなりそう。
けど、土門が言葉も表情も一言多いから、ずっと子どものケンカみたいな感じなのかな。
円大変だね、でも円の王子様だもんね。
ファザコン×変態王子。

深津×武笠もどかしかった~けど味わい深い~!
武笠おまえお花畑の針生主任の部下なのにそんなお堅いやつだったのか。
どんどん膨らんでゆく深津ビッチ説。
凶器持ってるくせに。
絶倫王の弟子のくせに。
最終的にすごく弟子っぽくなりますが。
深津あんな子なんだから~頼むよ~深津が不憫だよ~~ツンが過ぎるウブなんだから。
あんなにめんどくさい深津ですけど、いじらしすぎてどうしても武笠に当たりたくなってしまいます。
深津をせつなくさせないで。
傷ついて一人で泣く深津…
で、そこからの雪の夜のトイレ訪問はトキメキ炸裂のシーンでした。
やればできるじゃないの二人とも。
着替えも毛布もたまたま余分に買ってしまう武笠。下手か。
そんな武笠をも愛の呪文をペラペラ唱える奴隷にしてしまう深津すごい。
男になれたね武笠。
覚醒したとたん話が早いのとか、手の回し方が普通じゃないのとか、さすが富豪だなと思いました。
できることはとにかくやってしまう、それが富豪。
「うちなんでも余ってるから」それが富豪。
そして絶倫師匠と同じ道をゆく武笠であった。