『ピアノの森』 一色まこと

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森の中に打ち捨てられたピアノ。
それはカイにしか奏でることのできない特別なピアノだった。
カイはずっと森のピアノとともに育ってきた。
転校生の雨宮、音楽の教師・阿字野…
運命の出会いを重ね、カイのピアノが放つ光は彼の人生を切り開いてゆく。

この作品は絵が苦手な感じがしていたのと、話が子ども時代から始まるっていうのとでずっと手を出していなかった漫画です。
読んでみたら、何故今まで放っておいたのかと激しく後悔しました…
見る目がなかった…なめてた~!

脇を固める人たちが魅力的で、世界のマエストロ、ジャン=ジャック・セローとか、佐賀先生とか、審査員の人たちとか、コンテスタントとか、個性的な人たちばっかり。
カイの身近な人たちもずっと丁寧に描かれていて、雨宮親子は特に近くにいるからこそのコンプレックスとか友情とかが熱かったです。

何回読んでもショパコンではずっと涙が出っぱなしです。嗚咽。
どのコンテスタントもそれぞれ何かを抱えてピアノに向かっていて、苦しみも喜びも全てを持って立つ舞台は全て感動的でした。
特にパン・ウェイは、まぁ生い立ちが複雑すぎるのもあるけど、めっちゃ泣いた!
カイのファイナルの演奏も終始泣きじゃくりながらページをめくっていました…
漫画だから絵や言葉だけなのに、音が聞こえているような不思議な感覚。
カイの演奏が始まって、終わってしまうのが嫌で、まだ終わらないで…という観客の気持ちと完全にシンクロしちゃって、自分も一緒にリアルタイムで感動しているようなあの昂りはすごかった!!
ピアノとオケとの会話にもすごく音を感じさせられたし、まさにカイのこれまでも現在も全てを音楽にしているような…うまく伝えきれませんが、ずっと心が震えっぱなしでした。
カイと阿字野、もう親子以上の二人の、すごい集大成でした。
結果発表もヤバイです。
もう勘弁して…と言いたくなるくらい、涙を搾り取られます。
出てくる人みんなの表情がもう本当に感情を揺さぶる…
あの感動は是非とも体験してもらいたいです。
家でハンカチ用意して読まないと大変なことになりますよ!