『目をとじて3秒』 阿仁谷ユイジ

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チバは幼馴染みのヒロトに恋心を抱いているが、打ち明けることができずに自分の感情を抑えて日々を過ごしていた。
ヒロトもチバの思いに気づきながらも、それを確かめられないでいた。
高校1年生のある日、チバは父(オネエ)の都合で引越すことになり、転校を余儀なくされる。

二人の純情がもどかしくもありますが、非常に甘酸っぱい気持ちでお腹いっぱいにしてくれる恋のお話です。
チバ目線とヒロト目線でお互いの思いがきわどくすれ違う中でのチバのセルフコントロールが、もはやアスリートの様。
ヒロトを思って必死で抑えて抑えている分、その葛藤に胸を締め付けられます。
お泊りのシーンとかどちらの側から見ても窒息しそうな苦しさでした。
ヒロトが男らしさを発揮しとけばこんなによじれていかなかったんだけれども、いかんせん、彼は乙女ですから。
ミミちゃんの扱いは天才的に上手いのに…
チバに対して噛み合わないウブな思いがかわいそうではありました。
でも、種明かしをされると、どの行動もいちいち愛おしい。
せっかくウキウキおめかしして来たのに、ここで暴発するミミちゃんのデリカシーの無さが憎かった…
魔改造を経ても、やはり父。
大事なところで雑です。

4年ですっかり大きくなって、大人になったヒロトの心の蓋が開いた瞬間のあの涙は熱かった。
一瞬であの頃に引き戻されて、あの頃以上にチバのことでいっぱいになって、溢れてこぼれる思いが熱かった。
眩しすぎるチバの4年分の笑顔。
4年越しの達成感が心に染みわたりました。

二人の後日談「目をひらいても、3センチ。」PDF版がBOOTHにて公開されています。
恋人となった二人のラブももどかしさと限界ぶっちぎり感が満載でした!