『となりの怪物くん』 ろびこ

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勉強以外、他の何にも心を動かされることがなかった水谷雫。
高校に入学してすぐに停学になった、隣の席の吉田春と関わることになり、雫の世界は動き出した。
激しい個性が明るくぶつかり合う、青春ラブコメディ!

出てくるみんながとにかく大好き!!
なんておもしろい子たちなの…!!
最初から最後までその気持ちが薄れることなく、むしろ濃度を増しながら読んでいくことができます。
大いに笑い、大いに胸を震わせてくれた作品。
たくさんの感情が愛をこめて描かれていました。

みんなそれぞれにコンプレックスや寂しさを抱えながらも、揺るぎない自分を持っている。
ヘンな子ばっかりだけど、どうしても隅々までみんな愛さずにはいられません。
ずば抜けてヘンなのはやはりスタメンのみなさんですけど。

ヘンだヘンだと言ってますが、みんなの在り方や付き合い方がすごくかっこいいんです。
良くも悪くもとにかく向き合って、ぶつかる。
間違っていても、傷ついても、誰かのことを好きだと思う気持ちも、嫌いだと思う気持ちも、どれも恥じることではない。
いいなと思ったら認める、悪いと思ったら謝る。
とにかく相手に潔く伝える。
相手のことを同じ目線で受け止める。
どんな属性であっても、上も下もない。
シズクの言葉がビシバシきまります。
他人の視線に縛られないのが、感動的にかっこいいんです。

出会ったころは自分しかいない世界で生きていたシズクやハル。
他のみんなもそうだけど、どんどんその世界が開けていって、自分も変わってゆく。
世界が広がるたびに、うろたえたり、迷ったり、間違ったりするんだけど、みんなそれを誰かのせいにしたりしないんです。
全身でがっしり受け止めながら前に進んで行くんです。
色んな出来事があって、すれ違ったりもするけれど、それぞれが自分で悩んで向き合っている結果だから、もどかしさはあまり感じませんでした。
むしろ、こんな風に人との関係を築いていけたら宝物になるよなぁと思うばかりです。
気持ちが重ならなくても、どちらもその時の立場で堂々と相手を大事にするシズクとハルが本当に素敵だった…
ブレずにどんどん図太くなってゆく人たち…
あんな、うしろめたくなく人を好きになれたらいいのに!

しかし、何はともあれ夏目ちゃんです。
アホのお姫様です。
いつもハルと危険な盛り上がり方をしていた夏目ちゃん。
バカな子ほど…と言いますが、大好きでした。
ひたすらにおかしな子でした。

ササヤンくんもヤマケンくんも、かなりあっさりめに登場したのに、あんな存在感を出すとは!
二人とも好きだったな~特にヤマケンくんは放っておけない感じで…ノラ猫のような頑なさがあって…
大島さんもスタンダードさにどんどん磨きがかかって、しまいには大好きになってしまったし。
それぞれの恋が、どれもみんなキラキラしてたなぁ…
友情も恋愛も、心を裸にして受け止めていくことがすごく素敵だと思えるお話でした。
何度読んでもそういう気持ちにさせてくれます。
最後は涙涙ですよ!!!