『たいようのいえ』 タアモ

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幼い頃から自分の家で居場所を見つけられなかった真魚。
幼馴染の中村兄弟の家は太陽のようにあたたかく、真魚も家族のように迎えられていた。
しかしある日、中村家の両親が不慮の事故で他界して兄弟はバラバラになり、長男の基が一人で家を守っていた。
高校生になった真魚は、父親が再婚してできた新しい家族の中でも孤独を抱え、見かねた基は真魚に同居を提案し     !?

恋の幸せも、家族のあたたかさもつまった物語です。
家族の中でずっと一人だった真魚が、基との暮らしの中で些細なことを喜んではしゃぐ度に、これって幸せなんだ…これって愛されてるってことなんだ…と自分でも素直に感じられてジーンとしました。
自分の日常の当たり前のことを改めて思ってみたりしました。
真魚のぶっきらぼうな素直さがかわいいんです。
寂しさとか嬉しさとかがむき出しで、基はそんな真魚を傷つけないように、大切に大切に包み込むんです。
基が真魚を大切に思う気持ちとか扱い方とかが、ギューっとなるくらいあたたかくて、真魚につられて泣きそうになります。
大樹も織田くんの気持ちもすっごくあたたかい。
みんなのあたたかい愛が真魚を強く素直にしているのが感じられてまたジーンとします。
素直でいることってすごくタフだよな~

みんな自分のずるさとか弱さに失望しながら、それでも自分を諦めずに立ち続ける。
個人的に一番共感したのは真魚のお父さんでした。
あんなすっごいやなやつなんですけど。
あのかわいげのないお父さんを物語を通して人間的に描いてくれたのが、なんか救いでした。

一番近くにいる大事な人を素直に大切にすることができなくて、傷ついたことが忘れられなくて、でも大切で苦しい。
大人である分、なかなか踏ん切りがつかないお父さんに、真魚は手を伸ばす。
最初は一人だった真魚を周りの人が支えるようになる。
真魚とお父さんが必死に不器用に想いを向けるシーンは、二人のこれまでの寂しさが走馬灯のように巡り、胸をいっぱいにして、涙が止まりませんでした。

…湿度高めの真魚パパでしたが、あとの人たちはみんなアホなところがあって、ちゃんとガス抜きできててカラッとしてます。
なんといっても後妻が良い。
等身大で、葛藤も強さもあってかっこいい人だったなぁ。
この人が本宮家の精神的支柱で、私は彼女のファンでした。
あと、杉本さんはなんだかんだ腐女子だし。
それ以上は腐らない強さというか。
むしろ基の鈍さにイラッとすることはあったけど、思い返せば彼の対応は神だったな…
恋の縺れで誰も悪者にしないって、男の器が見えるよなと思いました。
杉本さん嫌いじゃなかったから、彼女の番外編も幸せで嬉しかったです。

番外編がどれも幸福度MAXで、幸せに悶えながら何度も読み返してしまいます。
基と真魚のもじもじラブが頭の芯まで幸せで満たしてくれます。
決めるとこビシバシ決めてくる基に目がハートになってました。
痒いところに手が届く愛し方というか…あんな愛を受け取りたい…