『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』 みなつき/二ツ家あす

Pocket

「この世は煩わしいことばかり」
偏屈で人嫌い、取り扱い要注意、と担当編集者を悩ませるミステリー作家・朏 素晴(ミカヅキ スバル)。
偶然出会ったノラ猫を、創作のネタを膨らませるきっかけにしようと、気まぐれに連れ帰る。
一人と一匹の生活は探り探りで始まった!

猫を可愛がるということすら考えもしなかった素晴。
猫に名前をつけて呼ぶ必要すら無いと思っていた素晴。
一緒に暮らし始めると「こいつは一体何を考えてこんなことを…」という謎で頭がいっぱいに。
ただでさえ、自分以外の存在について理解しようとはしてこなかった素晴にとって、言葉も通じない「猫」という生き物は理解不能!
でも猫は猫なりに一つ一つの行動に、なんやかんや理由があるのです。
こんな通じ合わない二人の生活が、素晴の視点と猫の視点の両方から描かれています。
ので、全然噛み合っていないのがありありとわかります(笑)

素晴は自分以外の気持ちを想像するということが欠けていて、猫に対しても自分目線だからさっぱり理解できない。
それで素晴が翻弄されまくったのを見届けて、猫編が始まります。
するとなんと、世話好きでツンデレのかわいい女の子ではありませんか♡
彼女の視点で、色んな行動の謎がスッキリしてゆきます。(素晴には謎のまま)
え、名前ってそんな認識だったの…みたいな。
でもまあ、ちゃんと機能しているみたいなので問題なし。
名前を付けて呼びかけて、素晴と猫のコミュニケーションが始まります。
呼んで、答えて、考えて。
猫との日々の中で、素晴は少しずつ相手の心を想像したり思いやったりできるようになっていきます。
猫の可愛さやあたたかさも知っていきます。
猫ってなんで泣いてるときに側に来てくれるんだろう。
言葉は通じないのに、すごく感情を刺激しますよね、猫って。(あ、動物はみんなそうか)
猫と暮らしていたとき、私も何度もそんな場面があったので、思い出して恋しくなってしまいました。
あの暮らしを体験してしまうと、いつかまた猫と暮らしたい!という思いがずっと消えません。
そんな猫との暮らしの幸せをほのぼのと味わえる作品です。
猫に対して、人に対して、様々な感情を広げていく素晴。
「大丈夫かしら?」と素晴のことがついつい気になっちゃう猫のハル。
二人が仲良くなっていくのが楽しみです!